カナダ年金制度の概要
このページではカナダ年金制度と日本からカナダに移住するケースを踏まえた解説を致します。
カナダの公的年金制度は下記の2つのプランから成り立っています:
1. 老齢保障年金(Old Age Security, OAS):
OASはカナダ政府が提供する年金で, 65歳以上のカナダ国民および永住権保持者に支給されます。この年金は所得に基づかない為, 働いた年数や納付した額に関係なく支給されますが,
受給額はカナダに住んでいた18歳以降の期間によって異なります。満額を受け取るためには, 18歳以降にカナダで少なくとも40年間住んでいる必要があります。カナダの居住期間が10年以上40年未満の場合でも,
居住期間に応じ OAS を部分的に受給できます。受給資格は, 65歳以上であり, 少なくとも10年間カナダに住んでいることです。さらに, OASの受給資格を満たし,
かつ低所得者である場合は, Guaranteed Income Supplement(GIS) と呼ばれる補助年金を受給できる場合があります。
2. カナダ年金計画(Canada Pension Plan, CPP):
CPPは働いている間に支払う年金掛金に基づいて, 退職後に支給されるもので, 収入に基づく制度です。18歳から65歳までの間に所得を得て働いた人が掛金を支払い, これにより将来年金を受給する資格を得ます。支給額は, 働いていた期間や掛金の額によって異なります。CPPの受給開始年齢は65歳ですが, 60歳から繰り上げ受給, 70歳まで繰り下げ受給を選択することも可能です。繰り上げ受給すると年金額は減額され, 繰り下げ受給すると年金額は増額されます。また, 病気や怪我で働けなくなった場合に受給できる障害年金制度もあります。
日本とカナダの年金協定について:
日本とカナダは, 両国間の年金協定(社会保障協定)を締結しており, この協定はカナダに移住した日本人が年金受給資格を得やすくするためのものです。主なポイントは次のとおりです:
年金加入期間の通算:
日本とカナダの両国で年金に加入していた期間を合算することができます。例えば, 日本で年金保険料を納めていた期間がカナダの年金受給資格の条件を満たすための期間に算入されます。同様に,
カナダで働いていた期間は, 日本での年金受給資格を満たすために考慮されます。
カナダでの受給資格: カナダに移住した後, OASを受給するためには, 通常, カナダで最低10年間居住している必要がありますが, 日本での年金加入期間もカウントされるため, これによって受給資格が早く得られる可能性があります。CPPに関しては, 働いていた期間や納付額に基づくため, カナダでの労働経験がある場合, その期間に応じて受給資格が決まります。
遺族年金: 年金協定には, 遺族年金に関する規定も含まれています。
請求手続:
年金協定に基づいて年金を請求する場合は, 居住国の年金機関に申請する必要があります。この協定により, 日本で働いていた期間がカナダの年金制度での資格要件を満たすのに役立ち,
移住後の年金受給がスムーズに進む仕組みとなっています。
※ ケベック州に居住する場合は, CPPではなくケベック州年金制度(QPP)に加入することになります。
ご質問, 実際のお手続きについては, 以下の機関にお問い合わせくださいます様お願いいたします:
日本年金機構: https://www.nenkin.go.jp
カナダ年金機構: https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp.html